お店とか、あるいは民家の玄関とかを見ると、デカいたぬきが鎮座していることがあるけどあれは一体なんなのか?
あれはたぬきの置物だ。
んなこと見りゃ分かるわい!俺が問題視しているのは日本一の愛されマスコット動物を目指す俺にとってあのたぬきは強大なライバルになりえるんじゃないかということよ!
ライバルというか超えられない壁として既に立ちはだかってると思うぞ。
すでに日本中に普及してしまっているので先を越されている感は否めないが、いつか戦いになるその時のために、あのたぬきが一体何者なのかを調べる必要があると思います。そして何かご利益があるならあやかりたい。
(なんの戦いだよ。)ということは、今回はあのたぬきの置物についての雑学をご紹介していくということだな。
そういうことだっ!
たぬきの置物の正体は信楽焼?
というわけで、我々は早速あのたぬきについての調査を開始しました。
商店さんなどでよく見かけるたぬきの像。
お家の玄関などに飾られていることも多いたぬきの像。
あれは一体何者なのか?と調べてみると、
どうやらあれは信楽焼(しがらきやき)の一種ということが分かりました。
信楽焼の歴史
それでは、まずは信楽焼とは一体何なのか?
という点についてご紹介していきます。
信楽焼は滋賀県甲賀市の信楽を中心に作られている炻器(せっき)で、
日本六古窯の一つとしても数えられている伝統工芸です。
ちなみに、炻器とは陶磁器の一種だと思ってもらってもOKです。
信楽焼は明確にいつ頃から
始まったのかと言うのは定かではありませんが、
平安時代の後期頃に常滑焼の技術を取り入れて
発展したのではないか?と言われています。
その後壺、甕、擂鉢など様々な用途として使われ、
江戸時代にはなると商業の発達や茶の湯の一般化に伴い、
茶壺や土鍋、徳利、水甕などにも利用されていったそうです。
また、明治時代になると新しく「なまこ釉」が開発され、
それを活かした火鉢などの生産も始まったんだそうです。
そして現在では、信楽焼は日用陶器のほかにも
・傘立て
・庭園陶器
・衛生陶器
・建築用タイル
・陶板
・置物
などなど、器だけではなくインテリアや建築材としても使われており、
1976年(昭和51年)に国から伝統的工芸品の指定を受け、今日に至ります。
色んな事に使われていることからも、優れた炻器であることが窺えますな!
信楽焼の特徴
そんな信楽焼は他の陶器に比べてどんな特徴があるのかと言うと
・耐火性の高さ
・加工のしやすさ
などが挙げられます。
また、見た目の特徴としては、温かみのある緋色と
自然釉によるビードロ釉と焦げ具合が特徴で、
日本独特のわびさびのある雰囲気が人気だそうです。
たぬきの置物の由来とは?
では、この信楽焼で何故冒頭のたぬきの置物が作られたのか?
その由来についてご紹介していきます。
信楽焼によるたぬきの置物の生みの親は、
「藤原銕造(ふじわらてつぞう)」さんという方で、
昭和10年代に作られたのが由来なんだとか。
藤原銕造さんは当時、京都の山奥で陶芸家をしていたそうです。
そんな藤原銕造はある日のこと、
いつものように作業を開始していたのですが、
そこにたぬきの群れが現れました。
そして、そのたぬきの群れはなんと輪を作り、
お腹を叩き始めたんだそうです。
実際にそういう現場を見てみたい…。多分可愛いんだろうな。
藤原銕造さんはその時の光景が記憶に強く残り、
何か陶芸に活かせないかと考えた結果、
現在のたぬきの置物の原型となる物が完成。
そしてこのたぬきの置物を販売してみたところ、
これが中々のヒットを飛ばし、
その評判は徐々に全国に広まっていったそうです。
それからたぬきの置物は縁起物とされ、
各ご家庭やお店の玄関などに置かれるようになっていったんだとか。
人前にわざわざ現れて腹を叩くと言うパフォーマンス…!俺に足りないのは人間へのアピールという事か!?
たぬきの置物に込められたご利益とは?
たぬきの置物は縁起物とされていますが、
一体何のご利益があるというのか!?
意外と知らないという方も多いと思います。
実は、たぬきの置物に込められたご利益というのは、
「商売繁盛」なんだそうです。
これは俺も知らなかったのですが、
たぬきというのは古くからお金に関する精霊として
考えられていたんだそうです。
そして、たぬきという名前は「他抜き」、
つまり「他者より抜きんでる」という意味と言われており、
それが「他店よりも繁盛する」という意味に考えられて
商売繁盛のご利益があると考えられるようになったんだとか。
『他抜き』で『たぬき』とはこれまた日本人の好きそうなジョークですな。
たぬきの置物は部位ごとにも意味がある!?
また、たぬきの置物に込められたご利益は
商売繁盛以外にもあるようです。
たぬきの置物には「八相縁喜(はっそうえんぎ)」という概念があり
・笠
・目
・口元
・お腹
・お酒
・大福帳
・しっぽ
・金袋
という8カ所にもそれぞれ意味があるそうで、
それぞれのカ所が幸運を呼ぶとされています。
では、それぞれの部位がどんな意味なのか?
見ていきましょう!
笠:
たぬきの置物の特徴として、
大きな笠を被っていますよね。
この笠というのは一体何故被っているのかというと、
とっさのトラブルや災難など、不意の悪事を防いでくれるためなんだとか。
つまりはヘルメット代わりということですね!
俺の鍋も様々な厄災を防ぐために被ってるのでご利益があると言えるのではないか!?
鍋に期待し過ぎだろ。
目:
たぬきの置物の数ある特徴の一つとして、
大きく見開かれた目があります。
これはあらゆる方向に気を配る事で
お客様の気持ちを敏感にキャッチし、
商売が上手く行くようにという意味があるそうです。
顧客のニーズを敏感に察知するための目ということね。
口元:
たぬきの置物の口元は笑っている場合がほとんどですが、
これも商売に関係しています。
商売というのは仏頂面では上手く行きません。
やはりお客さんを安心させるような笑顔が大切です。
ということで、たぬきの置物の口元は笑っているんだそうです。
アイドル的にも笑顔は大事だな…。
お腹:
たぬきの置物というと、
圧倒的な重量感を感じさせる
デカい腹も特徴ですよね。
このデカい腹というのは言ってしまえば落ち着きの象徴。
どんな出来事にも腹を据えて冷静に対処する…
という意味でたぬきの腹はデカいんだそうです。
俺の腹ももっとでかければシャチとかに襲われた時に冷静に対処出来るのかな?
命の危機に瀕すればどんだけデカい腹してても慌てるんじゃないか?
酒:
たぬきの置物はお酒が入った徳利を持っていますよね。
この徳利には「飲み食いしていくのに困らないように」
という意味が込められているんだとか。
食うに困ると言うのは
仕事が上手く行っていないとという事ですから、
そうしたことが起こらないということは転じて
仕事=商売が上手く行くと言うことですね。
また、「徳を積んで利を得る」で徳利なので、
善行を積むことで商売が上手く行くようにという意味もあるんだとか。
お前も善行を積め。
明日から本気出す!
大福帳:
この大福帳というのは、
今で言う所の帳簿のことです。
昔は現代と違って、お酒を買う際などはツケにすることも多かったそうです。
ツケというのは下手をすれば
お客さんに払ってもらえないままになってしまう可能性もあります。
そのため、昔は今以上にお客さんとの信頼関係が大事だったんだそうです。
この大福帳には、お客様との信頼関係を
上手く築けるように…という意味が込められてるんだとか。
ビジネスはやっぱり信頼関係が大事だよな!
しっぽ:
たぬきの置物のしっぽというのは総じて大きいですが、
このしっぽというのは言うなれば第5の足の役割!
たぬきの置物はこの大きなしっぽを支えにすることで安定して立っています。
ということで、このしっぽには
「いつまでも安定した人生であるように」
という意味があるんだとか。
また、しっぽというのは「終わり」という意味も持ちます。
そのしっぽが大きくて安定していると言うのは
「終わりが良い」ということで「終わりよければ全て良し」にも通じます。
そのため、途中でトラブルに見舞われても、
「最終的に…勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」
というポジティブな意味もあるんだとか。
金袋:
たぬきというのは金袋(つまり陰嚢)が大きいことでも有名ですよね。
この大きな玉袋には
「自由に使えるお金が増えるように」
という意味が込められています。
子孫繁栄とかではないんですね。
たぬきの置物まとめ:意外と細かいところまで意味が込められたデザインだった
商店などによく置いてあるあのたぬきの置物、
商売繁盛という意味を持っていたという事も初めて知りましたが、
その中の細かいデザインにもちゃんと意味があったというのは驚きでした。
また、たぬきの置物の由来となったという
たぬきたちが輪を作って腹を叩いたお話、
一度でいいからそういう場面を見てみたい…。
きっと微笑ましい光景だったのではないかと思います。
俺もたぬきみたいに日本を代表する動物になるためには、まずは体の隅々に何かしらの意味を持たせようと思います。例えば、いつもグテーってしてるこの姿勢は『楽な人生を送りたい』という願いが込められてる…とか。
もはやただのお前の願望じゃねーか…。
それでは、今回はこれでお終い。俺は自分に込められたご利益とかを妄想しながら寝ます。