これまでこのサイトでは、色んな動物や昆虫などについての雑学をご紹介してきました。しかし、その反動である程度のおかしな生き物を見ても驚かなくなってしまった。どこかに俺を唸らせてくれるような不思議な生き物はいないものか…。
そんな今のお前にピッタリの生き物を紹介しよう!その名はハダカデバネズミ!
なんか酷い名前のネズミだな…。ネズミ程度の生き物で俺の度肝を抜くことが出来るんか?
こいつは名前がおかしいだけではなく、実は社会を形成して生活したりと意外性の塊のようなネズミだぞ。
ということで、今回は騙されたと思ってこのハダカデバネズミについての雑学をご紹介していきたいと思います。
ハダカデバネズミはどんな生き物?
では、ハダカデバネズミとは一体どんな生き物なのか?
その基本的な生態について見ていきましょう。
ハダカデバネズミとは、デバネズミ科ハダカデバネズミ属に分類される動物で、
主にエチオピアやケニア、ジブチやソマリアなどに生息しています。
大きさは体長10.3~13.6cmほど、尾長3.2~4.7cmほどで、
体重はおよそ9~69グラムとなっています。
ハダカデバネズミ…という名前はちょっとあんまりな感じの名前ではありますが、
実際ハダカデバネズミは毛がほぼ無く、出っ歯が特徴の見た目をしていて、
かなりストレートなネーミングとなっています。
そのまんまやないか!
ちなみに、毛は別にないわけではなく、
感度の高い細かい毛が生えているとの事。
ハダカデバネズミは完全地中棲の生き物で、
穴を掘ってその中で10匹以上290匹以下の群れを作って生活しています。
(ちなみに一つの群れの平均は75~80匹とのこと。)
ハダカデバネズミは口の前に出っ歯が出ているという口の形をしていますが、
これは穴を掘る時に口の中に土が入らないようする仕組みなんだそうです。
主に地下の植物や植物の根を食べる草食性の動物で、
赤ちゃんは大人の排泄物なども食べるんだそうとか。
ちょっとばっちぃと感じる方もいると思いますが、割とこういう生き物はいます。
ハダカデバネズミは社会を形成する
地中に群れを作って暮らしている…と言われると、
何だか昆虫のアリみたいだな~と思う人も多いのではないでしょうか?
実際ハダカデバネズミの生態はアリに似ています。
実はハダカデバネズミは社会を形成して
それぞれの役割をこなしながら暮らしているという
社会派(?)な生き物なんだそうです。
何だか社会を形成するって聞くと途端にめっちゃ頭良い生き物のように感じてきますよね。まあ人間社会に溶け込んで生活している俺も相当賢い生き物ということになりますが。
ハダカデバネズミは女王アリならぬ
女王ハダカデバネズミとも言えるメスの個体が一匹いて、
繁殖行為はそのメス一匹と数匹のオスだけで行います。
では、その他個体には一体どういう役目があるのかと言うと、
働きアリのように餌を集めてくる働きハダカデバネズミがいたり、
外敵から群れを守る兵隊アリならぬ兵隊ハダカデバネズミがいたり、
子供を温めるお布団係のハダカデバネズミなどがいたりと多種多彩です。
お布団係とかちょっと変な感じだけど、ハダカデバネズミは毛が無いから寒いだろうし、けっこう重要な役割なのかもしれないね。
ちなみに、兵隊ハダカデバネズミは外敵である蛇などから巣を守るのですが、
闘って撃退するのではなく自らを食べさせることによって相手を満腹にし、
満足させて撤退させるんだとか…文字通り捨て身の守りですね。
自分の命をかけて皆を守るとか男の中の男と言っても過言ではないな。
ハダカデバネズミの女王の寿命は?
また、ハダカデバネズミは社会性の動物というだけでなく、
寿命の長さでも有名生き物です。
普通のネズミなどの寿命はいいとこ1~3年ほどですが、
何とハダカデバネズミの女王は28年も生きるんだとか。
これは齧歯類の生き物としては最長の寿命です。
普通のネズミの9倍も長生きするとか長すぎませんかね。
ハダカデバネズミは生活環境が厳しくなると
体の代謝機能を自分で低下させる能力ことが可能で、
それが寿命の長さの秘訣ではないかと言われています。
要は意図的に体を省エネモードに出来るという事ですね。
また、ハダカデバネズミは
齧歯類の中では飛び抜けた寿命を持っているため、
その遺伝子の解明が必死に行われているんだとか。
もしかしたらハダカデバネズミが
我々の寿命を延ばしてくれる可能性も
無きにしも非ずですね。
俺もいつかはハダカデバネズミの力を得て不老不死に…。
ハダカデバネズミはガンに強い!?
また、ハダカデバネズミのすごさは
寿命の長さだけではありません。
なんと、ハダカデバネズミはガンにかからないと言うのです。
ガンという病気をざっくりと説明すると、
異常を持った細胞が生まれてしまい、
それが徐々に数を増やすことによって起こる病気…なのですが、
ハダカデバネズミはこのガンの発生を抑える遺伝子を持っているんだとか。
ハダカデバネズミは
・p16
・p27
という二つの遺伝子を持っており、これらはそれぞれ
・p16=一定のサイズに成長した細胞がさらに増殖するのを防ぐ
・p27=細胞の再生を阻害する
という効果を持っています。
この二つの遺伝子が二重の壁となって、
ガン細胞の発生や増殖を抑えるため、
ガンにならないのではないかと言われいます。
また、ハダカデバネズミは人間などと比較して
なんと5倍以上ものヒアルロン酸を生み出すそうで、
このヒアルロン酸がガンに対する高い耐性の理由ではないか?
とも言われています。
ハダカデバネズミの研究が進めば、もしかしたら人間が悩まされているガンもいずれは脅威ではなくなるのかもしれないね。
酸素が無くても18分生きる!?
さらに、ハダカデバネズミはなんと酸素が無い状態でも
18分間は生きることが出来ると言うのが研究によって明らかになっています。
(しかもその後大きな後遺症などのダメージもなかったんだとか。)
ハダカデバネズミは無酸素の状態になると、
体内で果糖という糖分の一種を生成し、
その果糖を使って脳や心臓といった
重要な組織にエネルギーを供給しているんだとか。
ちょっと貧相な感じの見た目とは裏腹に、
実に様々な能力を持っているハダカデバネズミは
医療などに役立つのではと考えられ研究が進められています。
ハダカデバネズミは飼えるのか?
見た目はけっこう…言うなればキモカワに分類される
ハダカデバネズミですが、個人で飼育するのは可能なのでしょうか?
実は可能です!
しかし、その価格はなんと1匹30万以上とかなり高額。
しかも基本的に地中で生活する生き物のため、
環境を整えたり維持するのもかなり難しく、
飼育難易度はかなり高い生き物として知られています。
どうしてもハダカデバネズミを見たい!
と言う方は、東京の上野動物園などで見ることが出来ますので、
そちらで見るにとどめた方が無難かもしれませんね。
何だかこうして考えると、ハダカデバネズミを使った研究ってかなりお金がかかってるのかもな。
ハダカデバネズミまとめ:見た目と能力のギャップが激しい!
毛が無くて出っ歯で、
一見ちょっとグロテスクとも言える
ハダカデバネズミ。
しかし、その生態を調べてみると、
社会を形成して生活するという暮らしぶりもさることながら、
ガンに強かったり寿命が長かったり、酸素が無くても大丈夫だったりと
かなり有能な生き物のように感じられます。
ハダカデバネズミの研究が進めば、
医療の分野で困っている方々をたくさん救えそうな気がしますので、
是非とも研究者の皆さんには頑張ってほしい所であります。
意外な生き物が意外な能力を持っているのが動物雑学の面白い所。
これからもこうした生き物に関する情報を
皆さんにお伝えしていけたらな~と思いました。
それでは今回はこのへんで。