暇な時ってけっこう色んな生き物とか昆虫とかのことを調べて時間を潰してるんだけど、この間ネットでサムライアリっていう名前を目にしたんだよね。
なんだそのカッコいい名前は!?
きっとサムライみたいに義理人情に厚くて、しかも強いアリの中のヒーロー的存在なのではないかと思うわけよ。
もしかしたらサムライの甲冑みたいに固いとか、そういうカッコいい特徴があったりしてな!
という事で、今回はそんなサムライアリについて調べていきたいと思います。
ちなみにこの冒頭の小芝居は完全にフラグです。
それでは、サムライアリの知られざるとんでもねー生態をどうぞご覧ください。
サムライアリとはどんな生き物?
まずはサムライアリとはどんな生き物なのか?
詳しく調べてみましょう。
サムライアリは、ハチ目・アリ科・ヤマアリ亜科に分類されているアリの一種で、
大きさは働きアリで体長4~6mm、女王アリで体長7mmほどになります。
色は全身が黒褐色をしていて、
他のアリに比べて大顎が鎌状に長く発達しているのが特徴です。
主に北海道、本州、四国、九州に分布しており、
日本以外では朝鮮半島や中国にも住んでいるようです。
サムライアリの女王の巣作りが世紀末過ぎる…
ハチやアリなどの仲間は、新しい女王が飛行しながらオスと交尾し、
その後新女王による新たな巣作りが行われます。
この現象を結婚飛行と言うようです。
通常のアリの場合は結婚飛行の後、
女王は単身(あるいは数匹で)穴を掘り進んで巣を作り、
その中で卵を産んでいき、集団を形成していきます。
ところが、このサムライアリの女王の巣作りは
他のアリとは全く異なります。
じゃあどんな巣作りをするのか?と言うと、
何と単身穴を掘るのではなく、
単身でクロヤマアリなどの巣を襲撃し、
相手の女王を仕留めることで巣を乗っ取るのだそうです。
ちょっと何言ってんだか分かんないんですが…。身重の状態で一体何やってんだ…。
発想が蛮族過ぎるんですけど…。サムライ要素はどこにあるんだ…。
サムライアリの新女王はクロヤマアリの巣に強行突入し、
押し寄せるクロヤマアリの兵隊達をばったばったとなぎ倒して
どんどん進撃していき、最終的には女王を仕留めます。
その時、女王アリの皮膚表面の成分を舐め取ることによって
クロヤマアリの女王に成りすまします。
そして、その後サムライアリの女王は卵を産むことに専念。
卵の世話や餌運びは全て乗っ取ったクロヤマアリたちがやってくれます。
単身で他種の巣にカチコミ仕掛けて巣を乗っ取ろう!っていう発想は一体どういう進化を辿れば生まれるんだろうか…。
サムライアリは奴隷を作るために狩りをする!?
このようにサムライアリの女王はとんでもない戦闘民族なわけですが、
そんな女王から生まれた兵隊アリや働きアリ達もまた、
そのDNAをがっちり受け継いだ戦闘民族なわけです。
他のアリ達はせっせと餌を巣に運んで働いていますが、
このサムライアリ達の労働というのは餌を運ぶことではありません。
ではどんな働きをしているのか?と言うと、
なんとこれまた他のクロヤマアリの巣を数百~数千の手段で襲撃!
抵抗するクロヤマアリ達を鋭く長い顎でばったばったとなぎ倒し、
クロヤマアリの巣にいる幼虫や蛹を略奪していきます。
この行為を「奴隷狩り」と呼んだりします。
『蛙の子は蛙』っていうけど、サムライアリの子もまた戦闘民族サムライアリでした。
ちなみに奴隷狩りが行われるのは主に夏の晴れた日の午後だそうで、
そうしたコンディションの日はきっとサムライアリ達も
「へへ…今日は絶好の奴隷狩り日和だぜーーーーーギャハハハ!!!」
とテンション爆上げになっていることでしょう。
こいつらだけ完全に世界観が北〇の拳なんですが…。
サムライにあるまじき行為しかしてないんだが…。サムライのイメージが崩れそうだ…。
サムライアリはこの奪ってきた幼虫や蛹を巣で育て、
立派なクロヤマアリになったら労働力として使います。
ちなみに、この奪ってきたクロヤマアリの
幼虫や成虫を世話するのもクロヤマアリの仕事です。
サムライアリの労働とは戦闘と略奪のことを指し、
それ以外は巣に引きこもっています。
クロヤマアリに人権は無いんですか?
また、このように他種のアリを奪って働かせる習性は
サムライアリの他にもアカヤマアリなどにも見られますが、
これらのアリは戦闘・略奪以外の餌運びもちゃんと行います。
ガチで戦いと略奪だけを仕事にしているのはサムライアリくらいのもんだそうです。
サムライの名誉のためにもこいつらをモヒカンヒャッハーアリに改名しよう。
サムライアリは強さの犠牲に怠け者になった?
圧倒的な戦闘力で主にクロヤマアリを虐げまくるサムライアリですが、
実は彼らには致命的な弱点があります。
それは、最大の武器でもある顎の形状です。
サムライアリの顎は戦闘に特化した形状に進化してしまったせいで、
子育てはおろか自分の食事すらままなりません。
そのため、クロヤマアリを奴隷として子育てをさせ、
クロヤマアリに食事のお世話をさせてもらわないと生きていけないのです。
戦いに特化した進化を遂げたせいで
悪事から抜け出せなくなったという、
これをサムライアリのジレンマと言います。(大嘘)
そもそもそんな進化すんなや!!
他のアリからしてみれば迷惑この上ない進化を辿ってしまったんだな。
サムライアリの名前の由来は?
サムライと言うと、主君に忠義を尽くしたり、
義理人情を重んじたりする何だか立派なイメージがあります。
しかし、サムライアリは略奪し放題で
全く立派なイメージがありません。
むしろサムライと言うよりは強盗とか蛮族とかの方が
しっくり来るような生態系をしていると言えますが、
何故サムライアリという名前がついたのでしょうか?
この名前の由来については
「サムライは生産性がない役職だから」
という説もあります。
例えば農民というのは米や野菜などを生産していますし、
職人は様々な工芸品や道具などを作り出します。
商人はそれらを取引してい利益を生みます。
しかしサムライというのは何かを
生み出したりするような役職ではありませんよね。
そうした生産性の無さとサムライアリの自分では餌を取って来ず、
他のアリを奪ってきてやらせる生態系が噛み合わさって、
「サムライみたいに何も生み出さないアリだな」ということで
サムライアリという名前がついたのだとか。
サムライアリっていう名前は皮肉が込められた名前なのかもしれないということか~。
サムライアリまとめ:名前と生態のギャップありすぎ
最初にサムライアリという名前を耳にした時は、
きっと強くて周りの生き物にも何かしらメリットがあるような、
けっこう立派なアリなんじゃないかと思っていました。
しかし、いざ生態を調べてみると、
女王が単身で他の種のアリの巣に突っ込み、
武力行使で巣を乗っ取って奴隷制度を作り上げたり、
奴隷を補充するためにまた他の巣を襲ったりと
やりたい放題過ぎる生態で
「何でこんな生き物が誕生してしまったんだろうか…。」
と頭を捻ってしまいました。
ただ、こういうよく分からん生き物が生まれて来てしまうと言うのも、
生物の進化の不思議で面白いな~と思ったのも事実です。
これからも、色々な生き物について調べてみたいと思います。
あと、クロヤマアリに生まれなくて良かったと思いました。