なべざらし

時にサボすけ君、君は『森は海の恋人』という言葉を知っているかね?

さぼすけ

俺が生まれた砂漠には森も海もなかったから全く見当もつかん…。俺が知ってる言葉は『サボテンはモニターの向こうの貴方の恋人』くらいなもんだ。

なべざらし

サボテンの分際で人間様を口説こうとするな。

さぼすけ

んで、森は海の恋人ってつまりどういう意味なんだ?

なべざらし

俺も知らん。

さぼすけ

結局お前も知らないんかい!?

なべざらし

知ってたらサボテンごときに物を尋ねるわけねーべさ!

さぼすけ

それじゃ、今回はこの森は海の恋人という謎の言葉について調べて行こう。

 

 

森は海の恋人とはどういう意味?

それでは早速、「森は海の恋人」
とは一体どういう意味なのか?
調べて行きたいと思います。

 

この森は海の恋人という言葉について
調べてみたところ、どうやらこの言葉は

「豊かな海を守るためには、豊かな森を守る必要がある」

という意味を持つそうで、
森と海の関係性を表す言葉のようです。

 

また、この言葉を元にした
「森と海は恋人運動」という運動があり、
この運動では漁師さんたちが中心となって
なんと森や山に植林をおこなっているんだとか。

 

森と海は恋人運動の始まりとは?

 

この森と海は恋人運動が始まったきっかけは、
畠山重篤(はたけやましげあつ)さんという方にあるそうです。

 

この畠山重篤さんは、宮城県の気仙沼市で
牡蠣やホタテの養殖業に携わっている人でした。

 

そんな畠山重篤さんはある日、
気仙沼湾に注ぐ大川の上流にある山や森林が、
海の生き物に良い影響を与えていると言うことに気付きます。

 

そして平成元年(1989年)から、
気仙沼湾の環境を守るためにその上流がある
矢越山への植樹運動を始めるようになりました。

 

さぼすけ

お仕事のかたわら植樹活動もするなんて大変だったろうな。

 

この運動はやがて同じ宮城県の歌人である熊谷龍子さんの短歌の一節を元に
「森は海の恋人運動」と名付けられ、徐々に全国に広まっていったそうです。

 

また、この畠山重篤さんはエッセイストでもあり、

・森は海の恋人
・漁師が山に木を植える理由
・森・川・海つながるいのち

などなど、様々な本を出しています。

 

そして現在は、
NPO法人「森は海の恋人」の
代表を務めているそうです。

 

 

植林で海が豊かになるメカニズム

では、一体何故森や山の木々が豊かになると、
海も豊かになるのでしょうか?
次はその仕組みについてご紹介していきます。

 

豊かな海…つまり魚がたくさんいる海の条件とは何か?
と言われると、やはり「魚の食べ物がたくさんある海」と考えられます。
生き物は基本的に食べ物が多い場所には自然とたくさん集まりますよね。

 

では、魚たちにとっての食べ物とは何でしょうか?
大型の魚などの場合は小さい魚がそれにあたると思いますが、
小さい魚たちにとっての食べ物というのは
プランクトンや海藻などになります。

 

森を豊かにすることは、
このプランクトンや海藻の成長を促す効果があるのです。

 

プランクトンや海藻が成長するためには、
窒素やリンという物質が必要不可欠です。

 

しかし、実はこれらの物質を吸収するために必要なものがあります。

 

それは何かと言うと鉄分です。

 

しかし!さらにここで問題なのが、
プランクトンや海藻というのは、
この鉄分を鉄分のまま摂取するという事が出来ないのです。

 

なべざらし

鉄が必要なんだけど鉄のままじゃダメってのも何だか面倒な話だな。

 

 

じゃあ一体どうすればいいんだ!と言うと、
この鉄分が「フルボ酸鉄」という成分に変化すればいいんだそうです。

 

このフルボ酸鉄を吸収することによって、
海藻やプランクトンはリンや窒素と言った物質を吸収し、
成長することが出来ます。

 

で、このフルボ酸鉄を作るためには
山や森が豊かであることが重要なんだとか。

 

山や森というのは木々から葉っぱが落ちて地面に溜まりますよね。

 

この葉っぱが微生物などによって分解されると
いわゆる腐葉土というものになるのですが、
この腐葉土が作られる過程でフルボ酸という成分が発生します。

 

そしてこのフルボ酸が土中の鉄分などとくっつくことで
フルボ酸鉄が生まれるというわけです。

 

このフルボ酸鉄は川によって海に運ばれ、
プランクトンや海藻たちに吸収されることで成長を促していきます。

 

そして、プランクトンや海藻がよく成長している場所には
自然とそのプランクトンらを食べるために魚たちが集まってきます。

 

その結果、豊かな海が完成するということです。

 

さぼすけ

これが森は海の恋人と言われる理由なんだな。

 

 

森が与える効果はプランクトンの成長だけではない!?

 

さらに、豊かな森や山が与える影響は、
単にプランクトンや海藻の成長を促すだけではありません。

 

沿岸部にある森は直射日光を遮る働きもし、
その結果海の水温が急激に変化してしまうのを防ぐ役割もあります。

 

また、風や波の影響を和らげたり、
水を清潔に保つなどの効果もあるそうです。

 

豊かな森が海に与える影響と言うのは、
細かい部分も含めて考えると非常に多く、
海の生態系を保つ上でとても重要ということですね。

 

なべざらし

森って色んな役に立ってるんだね。

 

 

植樹活動で豊かになっている海はどこ?

最後に、植樹活動によって豊かな海を維持している海について、
いくつかご紹介していきたいと思います。

 

青森県の尻屋崎:

 

まずは青森県の尻屋崎についてご紹介します。

 

この尻屋崎は実は森と海は恋人運動が始まる以前から、
近隣に植樹運動を行っていたことでも有名です。

 

尻屋崎はその昔、海岸の砂丘化によって
風で砂が海に飛び散ってしまい、
その影響で海藻やウニなどが減少してしまうと言う被害が起きました。

 

そこで、明治45年ほどから若者の漁業者さんたちが中心となり、
周辺に植樹活動を行って徐々に豊かな海を取り戻していきました。

 

その活動は現在でも続いていて、
今では立派な資源豊富な海となっているようです。

 

北海道の襟裳岬:

 

続いては北海道の襟裳岬です。

 

この襟裳岬も先ほどの尻屋崎と同じく昔(明治時代頃)は
開拓の影響で木々が少なく、そのせいで砂が風に飛んで海が汚され、
コンブは根腐れを起こし、魚たちはいなくなってしまったんだとか。

 

しかし、それを危惧して植樹活動を行い、
1999年にはほぼ再生することに成功し、
現在はまた豊かな海として活用されているようです。

 

神奈川県の真鶴半島:

 

次は神奈川県の真鶴半島についてご紹介します。

 

この真鶴半島はなんと江戸時代の頃から植樹活動が行われているんだとか。
その当時から森と海の関係性について気づいていたとすると驚きですね。

 

真鶴半島は今でも漁師さんたちから
魚が集まる海として大切に守られています。

 

岡山県の虫明湾:

 

この岡山県の虫明湾は牡蠣の養殖などを行っているのですが、
なんと平成8年に落雷による山火事によって
山の木々の大半が焼失してしまったんだとか。

 

しかし、その後漁師さんたちが植樹活動を続けたことによって、
現在ではまた豊かな海を取り戻したんだそうです。

 

天災にも負けない漁師さんたちの海への愛が感じられるエピソードですね。

 

森は海の恋人まとめ:地球環境っていうのは全部つながってるのかなぁ

 

森が豊かになることによって
海のプランクトンたちの成長に欠かせないフルボ酸鉄が生まれ、
それを取り込んでプランクトンたちが成長する。

 

そしてそのプランクトンたちを食べるために魚が集まる。

 

なんだかこうして見ると、
地球の生態系というのは本当によく出来ていて、
陸と海は別の世界というわけではなく、
ちゃんとつながっているんだな~と感じました。

 

人間は様々な物を自然からもらって生きていますが、
もらってばかりではなく自然にも手を貸して、
共生していく道が結局両方の繁栄につながるのかもしれませんね。

 

なべざらし

これからも人間には、森と海が仲良くやっていくための仲人役を頑張ってほしいと思います!それでは。