スペインには牛と人間が戦う「闘牛」という文化があります。

闘牛士と呼ばれる、赤いヒラヒラした布「ムレータ」を持った人が、猛突進してくる牛を相手に戦うといった内容の見世物です。

実はあれ、闘牛は別に「赤色」に興奮しているわけではありません。

牛が興奮しているのは色ではなく布

牛は色を認識する力を持っていません。

人間やサルは色を見分けることが出来ますが、基本的には動物は「色」というものを識別できていないといわれています。なるほどな~。

 

なぜ牛が興奮しているのか

 

牛が興奮しているのはヒラヒラした布「ムレータ」の方です。

猫じゃらしをヒラヒラさせると猫がじゃれついてくるように、牛もヒラヒラした布に向かって突進してきているだけだったのです。

たしかに、うちにも猫がいるけど動くものに興味津々だからなぁ。そういう意味があったのか。

 

赤色にはどんな効果があるのか?

以前の記事でも紹介しましたが、赤色には

・食欲が増す

・積極的に鳴る

・感情が高ぶる

・男性ホルモンが分泌される

といった心理効果があります。

 

つまり、牛が興奮するためではなく、観客や闘牛士が興奮するために赤色の布が使われているわけなんですね。

牛を興奮させていたつもりが、知らないうちに観客まで興奮していたとは…。恐るべき策略!

 

闘牛って実は1対1じゃない

 

余談ですが、闘牛と言うと闘牛士と牛の1対1の闘いというイメージがあるという方も多いのではないかと思います。

 

しかし、実は闘牛には闘牛士以外にも様々な人が関わっており、1対1というわけではありません。

 

■牛を誘うパンテリジェーロ

 

闘牛では、まずパンテリジェーロと呼ばれる助手役の方が現れ、カポーテというマントを振って牛を誘います。闘牛の主役である闘牛士は、この時に牛の動きを見てコンディションを見極めるんだそうです。

 

■槍で牛を攻撃するピカドール

 

パンテリジェーロが牛を誘い、コンディションを見極めていざ闘牛士が入場!…するのかと思いきや、次に現れるのは闘牛士ではなく、馬に乗って槍を持ったピカドールという役。

 

このピカドールとは一体何をするのかと言うと、何と牛の肩の辺りなどに槍を突き刺して攻撃し、弱らせるという役割を持っています。

 

確かに牛の圧倒的なパワーとスピードを人間が相手にするというのは危険な行為と言えますが、しかしだからって途中で槍をぶっ刺して弱らせ、その弱った状態の牛と戦うというのも何だかね…。

 

■追撃のバンデリーリョ

 

牛を馬上からの槍攻撃で弱らせ、いよいよ闘牛士の登場か!?と思うかも知れませんが、次に現れるのはバンデリーリョという役の人。

 

このバンデリーリョもピカドール同様、牛にダメージを負わせて弱らせる役目です。

 

バンデリーリョは短い銛を牛の背中に刺して弱らせます。しかも一発だけではなく複数本の銛を刺すので、牛が痛々しくて見るのが辛い…。

 

初めて闘牛を見るという方の中には、この牛にダメージを負わせるピカドールとバンデリーリョの工程でショックを受けて見るのをやめてしまうという方もいるようですね。

 

■最後に現れる主役のマタドール

 

ピカドールとバンデリーリョによって槍や銛を刺され、息も絶え絶えな状態になってからようやく現れるのがマタドール。つまり正闘牛士です。

 

ここでひとしきり演技をした後、最後に牛にトドメを刺すわけですが…。

 

もちろん、このマタドールを含めパンテリジェーロ、ピカドールやバンデリーリョの方々も牛の突進によって大怪我、悪くすれば死亡してしまうリスクを負っています。

 

しかし、何だかよってたかって牛を攻撃しているようにも見えて牛が可愛そう…と感じる方も多いのではないかと思います。何だか複雑な気分になるな~…。

 

闘牛に使われた牛のその後

闘牛に使われた牛は、その後近くの解体場に運ばれて翌日の市場に並ぶか、その日のうちに近くのレストランで調理されます。

しかし、硬い肉なので現地の人からはあまり好まれないとか。主に観光客などに向けて出されているんでしょうね。

 

しかし、闘牛のショーには「本当に現代でもやる意味はあるのか?」と言う意見が多く、常に賛否両論となっているようです。

俺も闘牛の動画を見ましたが、5秒くらいで見るのをやめました。

でも、自分の代わりに肉を作ってくれている人が居るから、俺らは安心して肉を食べられるわけなので、完全に否定する訳にもいきませんね。しかし、ショーにしなくても…。とても複雑な気分です。

人間も命がけだ!と言われればなんともいえませんし、難しいです。

 

生き残る牛も

 

すべての牛が調理されているわけではありません。

ショーの最中に「この牛は勇敢な牛だ」と観客から判断された牛は、たくさんの声援と共に白いハンカチが振られます。

 

それは、

「その牛をどうか生かしておいてあげてくれ」

といった合図らしいのです。

 

美談なような違うような…。上手く言い表せないね!

無事に生き残った牛は、その後山間部にある山でのんびりとした余生を過ごすそうです。

そして、新たな「闘牛」を作るために頑張るのです。

 

なべざらし

ていうか、そもそも槍や銛をぶっ刺されてそれでも逃げようとせずに戦おうと突進してるんだから、牛は皆勇敢なんじゃないかと思うんですがどうかね。

さぼすけ

お前なら一発目の槍で既に逃げるだろうしな。

なべざらし

俺は鍋で巧みに防御するからそもそもダメージを負うことはないのだ!ないのだが、それでも相手が槍で刺しに来ると分かったら多分逃げる!

 

闘牛は是か非か?

 

先程もちょこっと言いましたが、闘牛については現代ではけっこう賛否両論。それは闘牛の本場であるスペインの中でも同じなんだそうです。

 

というのも、やはり動物愛護の観点から問題視されることが多く、「スペイン=闘牛と考えてほしくない」という方も多いんだとか。

 

闘牛は元々は神に捧げる儀式として始まり、それが時代の流れによっていつしか興行的なものに変化していったのだと言われています。

 

しかし、現代は娯楽に溢れた世の中なので、闘牛に限らず楽しいことや面白いものはたくさんあります。そんな時代に人間と牛、双方が命を危険に晒すような行いはわざわざやらなくたっていいんじゃないか?と考える人が増えるのも無理からぬことではないかと思います。

 

現に現在のスペインでは闘牛が法律によって禁止されたという地域も出始めており、闘牛場は外観はそのままに、中身はショッピングセンターに改造されたりしているんだとか。

 

ですが、その一方で闘牛はスペインの歴史を作ってきた大事な文化なので、大切に残していきたいという方々もいます。

 

牛が可愛そうだからやめよう!という意見と、大切な伝統だから残そう!という意見。どちらも分かるような気がしますので、アザラシの脳味噌では荷が重い問題となっているのが現在の闘牛という感じですかね。

 

結論:話が重くなった

 

牛が興奮しているのは色ではなく布!という話題だったはずが、そこそこ重い話題になってしまいました。

 

ショーに関してはいろんな人の意見があると思います。肯定する人も居ると思うし、否定する人も居るでしょう。

今後このショーがどのようにして残り続けていくのか気になるところです。

 

今回のまとめは、

・闘牛が興奮しているのは色ではなく布

・赤に興奮しているのは観客

・闘牛はその後調理される

といった感じでした!

 

乳牛として牧場に飼われている牛は幸せなのかなーと考えさせられる内容でした。

さて、牛乳飲んでこよう。

じゃあね!