あーイッカクずるいわ。同じ雪国育ちなのに、アイツばっかりツノとかつけちゃってさ。
頑張って進化してきたんだろうよ。わがまま言うのはやめなさい。
アザラシにもツノがあってもいいと思うんだ。なんでこんなまるまるしてて可愛らしいフォルムなんだろう。
満足そうだな。
イッカクという生き物がいます。あなたは知っていますか?
イルカに一本のツノがついたような見た目をしており、古くは伝説の幻獣、馬に角が生えた生物である「ユニコーン」と間違われたりもしていました。
そんな神聖な雰囲気のある(?)「イッカク」ですが、今回はそんなイッカクの「ツノ」の正体についてお話していきたいと思います。
イッカクについて
イッカクはイルカの仲間で、体長は4メートルほどの大きさがあります。
「一角(イッカク)」という名前が表す通り、長くて立派な角が生えているのが特徴で、北極海などの寒い地域の海に住んでいます。
結構活発に活動する生き物で主にタラなどの魚や、地域によってはイカなどを食べて生活しています。
また、潜水が得意で長さは20分ほど、深さはなんと1000mほどの深海まで潜ることが出来るんだとか。
老いると体が白くなるので、よく「シロイルカ」と間違われてしまいます。基本的には5~10頭の群れで生活をしている生き物です。
ちなみに天敵はホッキョクグマとシャチ。
こいつもまた、シャチによって虐げられている生き物の一つなのだ…。なんだかシンパシーを感じる。仲良くなれそう。
それにしても、1000mも深く潜れるなんてすごい生き物だな。
イッカクのツノの正体
先ほどイッカクは角が生えていると言いましたが、すまんありゃ嘘だった。
イッカクの角は最近の研究では、実は角ではなく長く発達した歯であることが判明しております。
一角のツノは2本生えているうちの1本が、ねじれながら伸びていき「ツノ」になります。
つまり、物凄い「出っ歯」ということ…? いや、すでにそういうレベルではないような。
基本的にはオスがこの長いツノを持ちますが、メスにもツノが見られる場合があります。
そして、不思議なことに500頭に1頭くらいの割合で、ツノが2本生えているイッカク(ニカク?)が出現するそうです。不思議だなー。
ちなみに、悲しいことにこのツノは一度折れてしまうと元に戻ることはないそうです。
なぜツノを持つようになったのか
このツノはメスへのアピールのために用いられます。
イッカクは繁殖期になると、オスたちは自分のツノを使って争いを始めます。
争う、とは言っても、別にツノで相手をグサーッと突き刺したりするワケではなく、ツノの大きさを見せ合ったりしているんですね。
先ほども紹介したとおり、このツノは一度折れたら二度と生えてくることがないので、ぶつけあったり武器として活用し、折れたりすると一大事です。そうしたリスクを考えると当然かもしれませんね。
そして大きい角があると認められたオスはたくさんのメスに囲まれるハーレム生活を送ります。ツノの大きさがオスのステータスということですね。なんてこった…。
また、更に最近の研究の結果では、イッカクのツノはかなり高性能な機能を持つことが分かりました。
イッカクのツノには内側から外側に向かう神経系の集合体ということが分かり、高度な感覚器官として機能していたみたいです。つまりレーダーのようなものですね。
つまり、このツノを使って「氷の外の温度」「気圧の変化」などを知ることが出来るんですね。いち早く異変に気づくことが出来るわけです。ツノ高性能すぎ!
実際にイッカクはこのツノを空に向かって掲げて周囲の様子を探るという行動を取るんだそうです。
俺もイッカクみたいに周囲の様子をいち早く察知出来るようなレーダー機能欲しい!シャチが接近してきてもすぐに分かるようなやつ!
危険に対処出来る能力よりも、そもそも危険を察知して避けることが出来る能力の方が有用な場合ってのはけっこうありそうだよな。
高値で取引される一角のツノ
その時の額はなんと350万円(!?)
何でそんなに高いのかというと、現在はワシントン条約でイッカクのツノの輸入が禁止されていて、非常に珍しいものだからだそうです。
イッカクのツノがそんな高値で売れるなら、俺が被ってる鍋も3500万くらいで売れてくれないかな…。
お前の鍋はどうせそこらから拾ってきたただの鍋だろうし希少価値ないからな。どうせその鍋が無くなってもヤドカリみたいに他の鍋を見つけて被るんだろ?
やっぱ折れたら二度と生えないっていうプレミア感が大事なのかな?
いや、そういう問題でもないけどな…。
イッカクのツノはユニコーンのツノ
その昔、ヨーロッパではイッカクのツノは伝説にあるツノの生えた馬のユニコーンのツノとして売られていました。
これって冷静に考えなくても詐欺になるんじゃないかね…。
ちなみにユニコーンのツノには毒を無毒化するという効果があると言われていたそうです。
江戸時代にもオランダの商人から日本に持ちこまれたと言います。
現在、日本に残っているイッカクのツノは、その時に流通したものもありそうですね。
イッカクは昔は伝説の生き物だった
これもイッカクに関する雑学ですが、昔のヨーロッパではイッカクはお話の中でしか存在が知られていない伝説の生物として扱われていたんだそうです。
というのも、ヨーロッパの人々にとってはイッカクの生息地域はあまりにも遠く、実際に見ることは叶わなかったことから伝説扱いされていたということですね。
またイヌイットの人々の間では、イッカクは元々は銛を持った女性で、銛を持ったまま海中に引きずり込まれてしまい、その後シロイルカにくるまれたものだ…という言い伝えもあるんだとか。
イッカクのツノはその女性が持っていた銛という風に考えられていたということですね。
ていうかシロイルカにくるまれるってどういう事態だよ…。シロイルカを布か何かと勘違いしてないか?
でもかと言ってシロイルカに丸呑みにされたとかでもイヤだろ…。なんかアレだよ、昔のシロイルカはペラペラしてたんだよ。
結果:もはや歯と言えるレベルじゃない
イッカクのツノはたしかに歯といえば歯なのですが、あまりにも高性能過ぎて歯と呼んでいいものか疑問に思いますね。
ていうか、そもそも物を食べるためのものである歯がどう間違ってレーダー機能を持つに至ったのか…。イッカクは考えれば考える程謎に満ちた生き物ですね。
というわけで今回のまとめは、
・イッカクのツノは「歯」だった
・メスにアピールするために使われる
・更に外の気圧や温度を測るための手段として使われている
といった感じでした!
本当に生き物って不思議ですね。オレはてっきりあのツノを敵に突き刺して獲物を獲っているのかと思いました。
でも折れた時のこともしっかりと考えているんでしょうね…。たしかに二度と生えてこないと知っていれば大切にもしますわな。
俺もかっこいいツノが欲しい!
じゃあね!